2014年07月16日

踊ること、撮ること、そして愛すること。 哀の表現

哀を表現する事の難しさは、以前述べたが、
麻ゆみのように、技術が伴っておれば、
(クラシックの場合、感情表現は表情よりも、体で現す。
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当然言葉は発しないので、パントマイムとなり、踊りの中で
感情表現する技術は自然と高くなる)
その表現は、見ると言うより、魅了される、事になるが、
多くのダンサーの場合、哀というより悲の表現に近く、
私には、なんとなく大げさに見えて、つまらなくなる。
(悲の表現自体が上辺だけのものに感じると言う事は先述した)

簡単に言えば、
多くのダンサーや役者は、悲しい場面では必ず目を瞑る。
これは、本人の感情が高ぶっているだけで、
悲しい→ 泣く→ 目を瞑る
と言う大きな勘違いから来ているものである。

人間、本当に悲しい時は決して目は瞑らない。
何かを見つめようとするが、焦点が定まらず、うつろな状態になる。
あえて言えば、泣く時、眠る時以外で人間が目を瞑るのは、
安堵の時か、恐怖の時だけである。

悲しみの表現がこれだから,哀の表現はなかなか難しい。
ところが、ある程度歳を重ねると、その人生経験から悲哀となって
時折その姿を覗かせる踊り子に出会う。
しゅらさん、こと井原洋二氏。
哀を表現出来る男、これが、しゅらさんに惹かれる要因なのだが、
決して他のメンバーより特別技術が勝っていると言う事ではなく、
その感受性に独特のものがあるからだと思える。

その意味で、若干16歳になったばかりの少女が登場する事になる。
立石希帆(きほ)

この少女のオーラに惹かれ写真を撮り始めて1年半が過ぎようとしている。
ある変化に気づき始めたのが昨年の5月頃か、、、。
8月のいきざまつりに向けて、いのちうたのレッスンをしていた時だった。
いのちうたは、最近聞いた中では飛びぬけて印象に残る曲で、過去一番多く
レッスン風景を撮らせてもらったが、残念ながら20代後半の女性の歌で
希帆や夢菜には少々表現は難しい曲だった。

哀から希望へと変化する情景を靖子が素晴らしい振付をしているが、
振りは踊れても、その表現は難しく、特に当時小学生だった、
まりも、はかなり当惑していた。

その笑顔が大きな武器だった(笑)希帆にとって、このいのちうたは
ある意味、新境地を開く為の挑戦の踊りになる。

ある程度踊り慣れてくると、Linkに向かって、振付の変更や感情移入が
加えられ、この段階で友弥子が加わった。
結果的に、歌風亜のデビューと重なり、今年全国で踊られるほどの
名作になったのだが、この間、希帆と夢菜の感情表現の変化を見ていた。
15と16になったばかりの二人が、
二十歳を過ぎ、過去の悲しみを乗り越えて新たな人生に勇気と希望を見出し
今正に歩みだそうとする情景をどれ程理解できるのか?
非常に興味があった。

ドラマや演劇では過去の悲しみは、悲しみとして表現するが、
いのちうたの歌詞や曲調から、悲しみは乗り越えているので、ダンスでは、
過去の悲しみとして、哀の表現が適切であると思っていたので、
哀から、希望、喜びへと変わってゆく表現で、
どのような表情をするのかを見たかったのである。

残念ながら、哀の表現は、いきざまつりで試みられたが、全体として弱く
靖子が、その印象を強くしたかったのだろう、悲しみの表現へと振付が
変わったので、出だしの哀の表現は見られ無くなった。

実はこの曲、もう一箇所、哀の表現を必要とする場面がある。
最後の最後、悲しみでなく、希望と喜びで演舞を終ろうとする直前、
ライララ、、、の部分だが、喜びの中に一瞬の不安がある。

それは、
全てに命は降り注ぐ、あの地平線までも、、
のリフレインの後の、
今、あなたまでも、、、の一節にある。

全てに、、とリフレインしているにも拘わらず、
今、あなたまでも、、、とあるのは、
あなたにも届いて欲しい!!との願望があり、
それは、肯定ではなく、希望であり、不安だと私は解釈する。
これが哀の表現となる。

ライララ、、、、の部分から板付いて右手を差し出す瞬間まで、
笑顔から哀の表現が必要で、再び笑顔に返って終るべきだと思う。

同じ振付で、同じ様に踊っていても、その表情は人それぞれ、
感受性の違いで、それぞれが違った表情をする。
誰がどんな振りで、何を感じて、どのよな表情をして踊っているのか?
それを見るのが楽しみであり、
同じ感性を持った踊り子に出会う時、オーラを感じるのである。


posted by satowa2 at 18:01| Comment(0) | essay | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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